結果 (Results)




 論文とはある主題について、解決するべき目的あるいは主張するべき目的を設定し、それに対して未発表の解を主張するものである。それは発見であったり、問題の解決であったり、あるいは新しい方法の開発であったりする。この「結果」の章では、それを主張するために必要な材料を、過不足なく(つまり必要でかつ十分な分量だけ)示すところである。

 研究の結果は客観的なものである。それを公正にここで示さなければならない。主張に都合がよいものだけ示すのではなく、期待に添わない結果も公正に示さなければならない。それをどう解釈するのかは次の「考察」の章で述べるのである。ここはそのための材料を提示すると考えるべきである。ただしそれはやったことを何もかも書くということではない、論文の主張に沿う方向性をもって、材料を取捨選択し、主張がわかりやすいように順序立てて提示しなければならない。

 気象の論文は多くの場合、図を示してその説明をすることで結果が示される。このため図の選択と配置は大変重要である。結果の章を書く前にまず図をそろえて、論筋を考えるとこの章を書きやすい。図は提示した限りは、必要で十分な説明をしなければならない。文章で引用されない図はあってはならない。また、一言触れる程度の図は削除できる場合が多く、そのような場合は図を削除する。複数の図を提示して、まとめて説明するような書き方をする人があるが、このような説明はしてはならない。一つ図を示しては、それについて必要十分な説明をして、次の図に進むように説明するべきである。比較のために既出の図を引用することは構わないが、はじめて引用する図の順序が図の番号になっていなければならない。つまり図4の次に図6を初出として引用してはいけない。

 結果の章の論述は、論文の主張を説明するために、論理的に構成されていなければならない。また、順序立てて、説明が1次元的に進められなければならない。多くの場合、いくつかの章や節に分かれていることが多い。参考文献を引用することは構わないが、それとの比較や相違点の主張などは「考察」であらためてまとめる方がよい。また、冗長さを避けるため、章ごとにまとめなどを書いたりしない。

 章の構成は、一般的なものから特殊なものへ、大域的なものから局所的なものへと、分かりやすい内容や全体的な状況などからはじめて、次に提示される内容の位置づけがわかりやすいようにする。たとえば現象の解析の場合は、天気図や高層観測を用いて大規模場の状態からはじめて、レーダーなどの局所的なものに進めるなどである。


論文のアウトライン

論文の書き方