著者名と所属 (Authors and Affiliation)




   論文には題名に続いてかならず著者名とその所属を書く。第1著者が誰になるのか、著者の順序がどのようになるのかは、たいへんデリケートな問題である。著者の順は、その論文への貢献の度合いの順であることが大原則である。第1著者は通常その論文の全責任を負うと考えてよい。貢献の度合いは、解析や実験をした時間だけでは測れない。研究には資金が必ず必要である。その資金(通常は競争的資金)を獲得してきた人の貢献は大きく評価されなければならない。

 学生の修士論文を投稿論文にする場合などは、指導教官が第1著者になることが多いが、学生本人が第1著者になるのか教官がなるのかはよく話し合って決める必要がある。名古屋大学のようにレフリー付き論文が学位の要件となる場合は、学生が第1著者になることができるように学生自身が書くようにしなければならない。

 英語の論文の場合は、著者名が正しく綴られたものでなければならない(できればパスポートと同じヘボン式がよい)。論文で用いる自分の著者名はペンネームのように勝手に決めてよいが、いったん使い始めた綴り字は、研究の世界にいるかぎり、業績に生涯ついて回ることを忘れてはならない。

 所属についても注意が必要である。学生の場合、研究科に所属しているが、それと異なる研究所や研究センターで行った研究をまとめた論文の場合は、所属は後者のものを書く。所属が変わって、研究をしたときと論文を書いたときの所属が異なるときは、脚注に"present affiliation is ...."などのように書いて、著者名に添える所属は研究をしたところを書くのが原則である。所属が2つある場合、併記することもある。研究論文としてまとめられる業績は、著者のものであり、またその所属する機関の業績でもあるから、所属をどのように書くのかは重要である。研究機関によっては所属をその研究機関名にしていない場合は、業績評価の対象とならないところもある。


論文のアウトライン

論文の書き方