21世紀気候変動予測革新プログラム チーム4 第四回運営委員会 日時:2008年7月28日 14:00 〜 16:30 場所:地球シミュレータセンター研究棟1階大会議室 参加者: 和田(文科省) 吉田?(文科省) ----- 松野(フロンティア) 藤吉(北大低温研) 中村(名大HyARC) ----- 坪木(名大HyARC) 渡部(東大CCSR) 榎本(ESセンター) 篠田(名大HyARC) 吉岡(名大HyARC) 前島(名大HyARC) 欠席者:中北先生(京大防災研)、佐藤正樹さん(東大CCSR) 上田(名大HyARC) 青木さん、増永さん 本日の議事内容 1. 平成19年度の報告書について 2. 平成20年度の研究計画について a. 雲解像モデルの物理過程と力学過程の改良 b. 雲解像モデルを用いたGCMの大規模凝結過程におけるパラメータの検討 c. 全球静力学−雲解像非静力学非斉一モデル結合 d. 台風に関する全球モデル−雲解像モデル比較検証実験 3. チーム横断的台風研究について 4. 平成20年度の地球シミュレータ等の計算機利用計画 5. その他 議事進行は随時質疑応答を交えながら進められた。 0. 議事に入る前に 坪木より、本年度より研究員としてメンバーに加わった前島の紹介があった。 前島より挨拶。 議事: 1. 平成19年度の研究のまとめ 報告書のまとめについて坪木より説明があった。 革新チーム4のHPについて坪木より紹介した。 平成19年度報告書をHPに掲載したことについて、坪木より文科省和田様に確 認をとり、 「文科省の革新の予算を使って行われた研究である」ことを明記してあれば 問題はないと回答を得た。 http://www.rain.hyarc.nagoya-u.ac.jp/~tsuboki/kakushin/index_kakushin_jpn.html 文科省和田様より、シンポジウム中止のお詫びがあった。 文科省和田様より、革新プログラムとしての成果をそろそろ出してほしいとい う要望があった。 シンポジウムがなくなった分、記者発表的にできる何かがないかという問いが あった。 予算要求の時期でもあることから、プレス発表に向けて社会的インパクトの ある結果、図などがないかという問いがあった。 坪木よりタイリングによるシミュレーション技法を紹介した。 タイリングの図(T0418のケース) 現在気候と温暖化気候の比較を行う上で、計算量をセーブできる点は大きい。 (坪木) その技法が20km解像度気象研の台風、現在気候と温暖化気候の比較についての事例に 応用できるという話をした。(坪木) 気象研領域モデルはどのくらいか(松野) 比較という観点でどの領域をあつかってるか? →5km解像度のモデルはT0418のシミュレーションで用いた全領域とほぼ同じ。 計算リソースの削減率は、4割節約できた。 計算機資源のセーブができると紹介した。 革新プログラムチーム横断で台風を一つのテーマとしてやろうという話について 佐藤正樹さんを中心にすすめられており、積極的に本課題も参加しているという 話を紹介した。(坪木) ・台風に関する全球モデル−雲解像モデル比較検証実験 観測との比較 重並列化によるタイル張り領域化を用いた実験 T0423 T0613(西表島付近を通過・中心気圧の時系列) 19年度は実際の台風をシミュレーションしたことを紹介した。 台風の構造、T0423(1km) 急発達のようす、降水と強風の再現性 T0418のシミュレーションの説明 (松野) 気象研5kmモデルの領域はどのくらいか? (坪木) 南北20°N 〜50°N (中村) タイル貼りと矩形計算とで結果に違いはないのか (坪木) 非常によく合っている (松野) 北に伸びている降水域は合っているのか (坪木) おおむね合っている 今年度は実台風のシミュレーションを多く行っていく予定 T0712 T0715は宮古島で観測を行っている (松野) 気象庁ベストトラックの中心気圧とCReSSの中心気圧の比較は意味がないのでは (坪木) 初期値が現実の中心気圧と差があったとしてもCReSSで十分に発達してくれる ということを示したかった (中村) この先、中心気圧はどうなるのか? (坪木) 計算がここで終わっているのでわからない T0613の気象庁レーダーの記録はあるか(松野) →止まっていたのでない(坪木) T0613でみた中心気圧のさがり方、やりかたを確認したにすぎない(松野) →確認しておいた(坪木) 気圧低下の再現性について、初期値が離れすぎているのでは?(松野先生) 台風の目の再現性(中村先生) 大きな目は出るが直径80km程度の小さな目の構造が出ない 二重目ができるか? →小さい目の台風の再現がうまくできていない(坪木) 事例として2重目の台風もやってみたい。 目を重要視してなかったが、今後は中心気圧の推定のこともあるので注目していきたい。 解像度としては十分解像できるはず。(坪木) 中心気圧の妥当性を見る上でも、目の再現性は重要であると認識している。 過去に起きた台風を再現はよくできていると思われる(和田) 次の課題は予測、温暖化予測につなげることではないか。 これと同じ台風が、もし気温が1度上がった状況の下ならどうなるのか、 という点について調べようとしているのか。(和田) →そのような点に着目している。 これはモデルの検証である。細かい雨量などをみて、モデルの再現性についての 確認ができる(松野) モデルの中で作られた台風をより詳しく再現するために重要である(松野) 温暖化気候・現在気候の20kmのデータは気象研からアジア域についてもらっている。 ひとつの台風について4日程度やりたいと考えている。(坪木) 気象研20kmモデルでシミュレーションされた台風の統計について説明があった。 960hPa以下の台風は温暖化の下では増える。 気象研20km全球実験から台風を抽出:現在気候vs温暖化気候 2km水平解像度、北西太平洋域 SBCは無い。弱く大規模場にナッジングする機能がある。 親モデルに引っ張ってやってやるかについて検討中。 2. 平成20年度の研究計画について 2008年度の研究計画について紹介があった。(坪木) a) CReSSの力学過程、雲微物理過程の改良 ・雲物理過程の改良 雪と霰の質量比の比較 氷晶過程(1次氷晶生成過程の感度実験、2次氷晶生成過程の導入) 氷晶について藤吉さんの前回運営委員会でのアドバイスを考慮に入れたことを述べた。 氷晶過程についてやってなかったのか?(松野) 一時氷晶についてはやっていた。(坪木) 藤吉さんもいるので雲物理をきっちりやってもらうのがいいと考えている(松野) たまには雹もふるので、雹も扱えるようになると希望する(松野) 雹表は来年度導入を考えている(坪木) ・力学過程 セミラグランジュ法 セミラグの導入について、昨年度のテストがよかったので、さらに改良したい。 台風のアンビル(精度評価は容易にできるのでは:藤吉先生) あんびるの再現、面積での検証とかはできるのか。(松野) 簡単な雲放射(アンビルの生成・維持過程:松野先生) 放射についてはどうなっているのか(松野) →これから導入を考えている。(坪木) 単純なのでいいから入れて見ることを進める(松野) ブロードバンドでよい。 雲のメカニズムに関連したものが表現できればいい。 →簡略版も検討する(坪木) b) 雲解像モデルを用いたGCMにおける大規模凝結過程のパラメータ改良(篠田) 篠田よりAGCM大規模凝結過程パラメータ改良についての現状と計画についての 説明があった。 ・台風T0806の比較(松野先生) みらいのレーダ(降水分布)、気圧、風向・風速 ・雲頂輝度温度(中村先生) のっぺりしている(鉛直分解能の問題) ・PDF時系列 ・雲水vs凝結水量比 観測で検証できないじゃん(松野先生) CloudSat, CALIPSOを使えば雲水vs雲氷の区別ができる (松野) 降雪粒子の判別は何のために調べているのか (篠田) 雪とあられを区別するため (松野) ビデオゾンデの方が良いのでは? 画像解析とどういうつながりが出るのか。 観測する対象は? 地上のデータベースか? それならビデオゾンデを使ったほうがいい。(松野) →データの数が少ないのでビデオゾンデだけでなく地表のこのデータベースも 使いたい(坪木) ずれてもいいから観測があって、それと雲モデルの比較というものを見たい(松野) →検証するためにはHYVISをあげてみるしかないと考える(篠田) こういう事実を元に観測計画を作り直すということか。(松野) ビデオゾンデを使った実験とはどういうもの?(松野) →沖縄のNICTのCOBRAである(坪木) ビデオゾンデのデータの解析は今年やる。 ビデオゾンデの数を増やして解析を重ねていきたい(坪木) c) 非斉一モデル結合(前島) 前島より本年度研究計画の説明があった。 ・全球モデル1格子点毎 ・CReSSv3.0の検証・改良 急峻な地形 温帯域での再現性の検証 量的予測(高精度化) ・非斉一モデル CCSR/NIES AGCM vs CReSS は実績がある AFES(水平分解能20km or 40km) & CReSS(1km) ・来年度 AFES-CReSSの2-way nesting この作業の位置づけは何か?(松野) 2Wayでいったい何をやりたいのか。 何となくやりますでは困る。(松野) 2Wayはやる意義をよく考えてやるべき。(松野) 科学の問題としてやる意味があるかどうかみなでよく考えるべきである。 1Wayはわかるが。(松野) →現在の領域では狭すぎる。 アジアモンスーン域をカバーするようになれば意義がある(渡部さん) メソスケールの現象が大規模場にどのようにフィードバック しているか良く分かっていないまま戻しているので、実験と して行うのであればチャレンジングだろう(渡部さん) AFESではなく気象庁の20kmで1wayをやることを進める。(松野) 台風だけでなく、温帯域の渦の再現というのも重要だと考える。(松野) 革新という観点から、雲解像モデルが温帯域の現象にも使えるという ことが重要だと考える。 冬の豪雪について注目してやっていくというのはわかる。(松野) 革新における意義は?(松野先生) 東アジア域の対象4つ(豪雪、梅雨、温帯低気圧、台風) 最初の共通目的は台風、 次に降雪雲としたい→アイディアとしては良い。(松野) この革新のテーマで冬の豪雪というのもやるということでよいか。(松野) →彼の興味として出てきているので、 また、激しい現象という意味でも重要と考えている。(坪木) 日本域でシビアな影響をもたらす現象として     台風、豪雪、梅雨、竜巻が挙げられる。    この中でも台風が革新の主なテーマであるが、     日本域に影響を与える他の現象の再現性も重要なものであると考える。 このようなテーマも大事であると思う。(松野) 日本海の水温の信用性の問題もある。(松野) 同じ冬を篠田さんと前島君がやるというのは効率が悪いのではないか(藤吉) 計算自体は共同でやるのが良いのではないか。(藤吉) 地形が収束雲の形成に聞いているというのは重要と思う(藤吉) 気象研の冬場のデータをもらうことを検討したい。(坪木) d) 比較検証実験 吉岡より本年度研究計画の説明があった。 大循環モデルと雲解像モデルの台風比較検討実験 AFES(T639L96:20km) & CReSS (1km, 500m) AFES で 2004年10月T0423(TOKAGE)について実験した場を用いる 熱帯低気圧の発生から 持続するか短時間で消滅するかについては初期段階ではあまり変わらない (AFESから) 取り上げたどちらの場合でもCReSSでは発達するのではないかと思う(松野) 差はWarmCoreの微妙な高さの差だけか?(松野) →あえて言うなら個々の台風をみるとそれくらいしかみつかっていない。 大規模場では発達した東側のほうに下層に大規模な低気圧性の流れがある(吉岡) 気象研などでやられているより低緯度からの検証となる(松野) 3. チーム横断台風研究集会 ・佐藤正樹さん、気象研、坪木さんのそれぞれのグループで台風を題材にした 比較検証のための研究会を行いたい。 ・最初のミーティングを3月に行った後、具体的な進展は無い。 チーム横断という計画はどうなっているか。(吉田?) 佐藤正樹さんを中心に進められている。 4. その他 ・影響についてのチームとの関連は無い?(文科省の方) 一部、中北チームとの関連はあるが、具体的には無い ・データの共有について(文科省の方) 国内研究者向けにデータを一元化して置いておこうというもの 具体的に考えてはいないが、要望があれば考える。 ・モデルのValidationは常に考えておく(松野先生) 台湾観測 5. その他 最後に質疑応答。 シミュレータ利用時間は1万xxx時間去年と同じもらっている。 年度末まで利用できるので、計算を順次進めていきたい。 現在4割ほど使っている。(坪木) 来年度以降、このチームはAR5を考えずステップバイステップ進めていけばいい。 来年度以降他のチームはAR4よりもっとES占有率を上げてほしいと交渉 している。(松野) 影響のグループとはなにかあるのか(吉田) 影響のほうにすぐに使うという考えはあるのか。 →まだモデルをきちんとする段階だと考えていいと思う。(松野) 高潮計算などに有用なデータが出るのではないか。(吉田) 計算結果をどういう風にとっておくか考えていく必要がある。(松野) 高潮では10mの風が必要だと考える。 地表面のデータは細かいデータを出している。 建物のことを考えると100mの風がほしい。(松野) どこかのチームから要望があれば適用したい。(坪木) 防災、Cグループに利用してもらえると嬉しい。 データの共用についてはどうなっているか。(吉田) DIASを使ってという話は?きているか。 今のところ来ていない、他のところからの要望があれば(坪木) データ形式は他の人が使いやすいものになっている。 どのくらいの人が使いたいかのほうが気になる。 モデルのバリデーションというものはどうなっているか。(松野) 常にやりながらと考えている(坪木) 台湾の今年の夏の台風を観測でやったというのはどのくらいの期間?(松野) 航空機観測は? データは台湾側もち。どういう形でデータを整理するかは今後の話し合い。(坪木) 秋10月めどに2回目を開催予定。 発表会のときに合同で3回目をやる。