中国で格安インターネット


はじめに

最近,観測とか会議とかで一年に2回くらい中国へ出かけています. 僕がはじめて中国へ行ったのは,1998年の6月で,日本でもインターネット が定着し始めたころでしたが,そのころは中国でもインターネットはあまり メジャーな存在ではなかったように思えます. その後,GRICのような国際ローミングのアクセスポイントが中国のいたる ところに展開され,GRIDと提携しているどこかのISP(インターネット サービスプロバイダですね)に属していれば,上網(インターネットに接続する という意味の新しい中国語)できるようになりました. 初めて中国で上網したのは1999年の7月に安徽省・合肥に滞在したときで, このときは NIFTY-Serve のアカウントで上海のGRIC経由で接続しました. あまりにも感動したので,いろいろな人に開通メールを送りつけてしまいました.

しかし,GRID経由の国際ローミングは高すぎます. 日本のISPの場合,国際ローミングを使用すると,1分あたり15〜20円近く もかかります. 中国でいろいろな情報を検索しようとすれば,すぐに1万円を突破してしまいま す.しかも,ビジネスタイムや夕方から深夜の時間帯ではアクセスポイントに 接続が集中し,認証すらできなくなることが頻繁に起こります.

中国から国際ローミングを使用せずに上網するためには, 中国の ISP に加入すればいいのですが,言葉の問題や料金支払いの問題が つきまといます.しかし,最近,中国ではプリペイド型のインターネット 接続サービスが爆発的に発展し,プリペイドカードさえ手に入れば, 誰でも簡単に,しかも格安で上網できるようになりました. このドキュメントでは,プリペイド型のインターネット 接続サービスの利用の仕方について簡単に説明します.

プリペイド型のインターネット接続サービス

プリペイド型のインターネット接続サービスを提供しているISPはいくつかあり ます.代表的なものは,中国電信(163),中国網通(171),中国聯通(165), 吉通網絡通信(167)などがあります.プロバイダ名の後ろに示した番号は, アクセス電話番号を示します.これらの番号は,日本の117(時報)や177(天気予 報)のように,局番なしでダイヤルすれば,ISPのモデムに接続できます. ただ,都市によっては開通していない場合があるので,前もって,普通の電話機 からダイヤルし,むこうのモデムが「ぴーひょろろろ〜」と反応するかを チェックしておくとよいでしょう.

163や167などのサービスが利用できることを確認したら,次は プリペイドカードを入手します.このプリペイドカードには 30元,50元,100元など,いくつかの種類があります. 僕が使っている吉通の場合,100元で50時間使用でき,かつ22時から翌日の8時 は半額になります.つまり,1分あたりの使用料が約0.5円となり, 国際ローミングサービスを利用した場合の2.5〜3%程度の費用ですんでしまいま す.激安です.

かっこいいデザインのプリペイドカードには隠された秘密のIDが記されており, この秘密のIDを使って上網できる仕組みになっています. 以降は,僕のお気に入り ISP である吉通(じーとん)のプリペイドカード の使い方を紹介します.

吉通でインターネット

まず,プリペイドカードを入手しましょう.上海などの大都市では, 地下鉄駅や街角の売店で比較的簡単に入手できます. 看板に「上網●(●は「上」と「下」を組み合わせた漢字で,「カード」の意)」 と書いてあれば,まず聞いてましょう.「有没有吉通167上網●?」 たぶん売ってくれると思います. ちなみに,僕は江蘇省・蘇州市の「可的」というコンビニエンスストアで 買いました.レジのところに「吉通167上網●/IP●有ります」と書いてあった ので,いくらか聞いてみたところ,店員も分からず,「調べておくから明日来てね」 と言われ,翌日入手できました.

吉通のプリペイドカード

江蘇省・蘇州市で手に入れた吉通のプリペイドカード. 僕はこのカードの表面に自分のIDとかDNSのサーバーを 油性マジックで書いていましたが,この画像をスキャンするに あたり,こすって落としました. 吉通帯○進入網絡新時代!(吉通のカードを持っていればあなたはインターネッ トの新時代へ)!

上網●とよく似ていて紛らわしい物に,IP●」とか「IP電話●」というカードが あります. これは Internet Protocol を利用した格安国際電話で,安く国際電話を かけたい場合はとても重宝します.(ちなみに僕ももっています)

プリペイドカードを入手したら,その裏を見てください. カードの種類を示す番号(序号)と使用可能時間が 印刷されており,また,2つのID(ID1, ID2)が隠されています. 隠されている部分を軽く削り落とすと,IDを見ることができる仕組みになってい ます.吉通では,まずこのIDを利用して自分のアカウントとパスワードを登録 する事が必要です.アカウントを作成するために,まず次のページへ アクセスします.

このページを完全に表示するためには,中国語(簡字体)のフォントが必要に なります.中国語だと不便な人は,このページにある"English"の文字をクリッ クすると,重要なところだけは英語で表示されるようになります. まず,「open new account」か「resume old account」聞かれます. 新しくアカウントをとる場合は「open new account」を, 既存のアカウントにプリペイドカード分の使用時間を追加する場合は, 「resume old account」を選びます.今回はアカウントを新しく作るので, 「open new account」を選択します. すると必要な情報を入力するためのフォームが次々と表示されるので, 必要な内容を書き込んで submit します. 次にードの種類を示す番号(序号:Serial Number)と2つのIDを 入力し,submitします. ここで重要なのは,どこの都市のアカウントを取るかということです. たとえば,蘇州(suzhou)で"hoge"というアカウントを取ると, 蘇州から167で接続するときのユーザー名は"hoge"で大丈夫ですが, 他の都市で167を使う場合,ユーザー名に都市の名前が付いて "hoge@suzhou.cngb.com"になります.まあ,普段から都市名入りの ユーザー名を使えば中国中のどこからでもアクセスできるので, どこの都市を選んでも問題有りません. ちゃんとIDが認識されたら自分の好みのアカウント名(既に使用されていると だめですが・・・)とパスワードを設定します.パスワードは全国どこからでも 共通です.あとメールのエイリアスの設定もできるようです.必要な 人は設定されもよいでしょう.これで,無事アカウントが取得できました.

では次に実際に接続するために以下のように設定を行います.

・プロトコル
接続にはPPPとTCP/IPを使用します.
・電話番号
もちろん局番なしの167です.
・IPアドレス,Netmask,Gateway
DHCPで動的に割り振られます.Netmask,GatewayもDHCPが教えてくれます.
・DNSサーバー
210.15.22.1と210.15.22.3(変更される場合があります)です.
・SMTPサーバー
僕は smtp.suzhou.cngb.com を使っていますが.public.cngb.comで 大丈夫だと思います.

以上のような設定で簡単に上網できるようになると思います.

最後に

ここに紹介した方法は,僕が2001年7月に江蘇省・蘇州で実践した方法です. 他の都市から接続する場合は多少違うかもしれません.まあ,何とか なるでしょう.最後にいくつかリンクを示しますが,中国語 のフォントが必要です.それでは楽しい上網生活を!

免責事項と注意

このページに 書かれていることのすべてが正しい情報である保証は有りません.このページ によりいかなる不利益を生じても僕は責任を負いません. すべてはあなたの自己責任により実践してください. また,新しい情報や,正しい情報があれば教えてください.

最後に,プリペイド型のインターネット接続サービスは,非常に 匿名性が高いため,クラッイング行為の踏み台として使用される 可能性があります.そのような行為は絶対にやめてください.


前坂たけし msaka@dameningen.org